11月29日(火)、東京で開催されたJTF(日本翻訳連盟)の翻訳祭に行ってきました。
ここ数年は毎年参加しているのですが、今回のお目当ては機械翻訳(MT)。
「機械翻訳?ケッ、あんなもん使えるわけないじゃん」と鼻で笑う感じでしたが、2、3年ぐらい前から少しずつ変化しはじめ、この1年で皆の目付きが変わってきたと思います。
ただ、世界に比べると日本は一歩、いや三歩ぐらい遅れている感じがあります。
日本語はヨーロッパ言語に比べるとMTの精度が低いということはありますが、それよりも安かろう悪かろうの仕事をすることを許さない職人気質の国民性が、機械翻訳の導入が進まない理由なのかなと思ったりします。
ただでさえ価格競争が激しくて単価は下がる一方なのに、MTでさらに下げられる。
でも手が抜けない。
抵抗しとかないとヤバイという感じじゃないでしょうか。
実はわたしも少し前までそう思ってMTをある意味敵視していましたが、最近考え方が変わってきました。今回、ヨーロッパの翻訳会社が何社か来られていたのですが、その方々の話を聞いて、その考えが確信に変わりました。
日本ではコスト削減の方が注目されがちですが、ヨーロッパではMTは業務拡大のためのツールとして捉えられています。
世界的に、翻訳の納期はどんどん短くなっています。逆にボリュームはどんどん拡大しています。フランスのSLVの方が言われてましたが、100万ワード納期1か月(!)という仕事があって、45人(!!)の翻訳者でやったそうです。
でも、人間のやることだから、スピードアップには限界がある。
実は、ボリュームが大きな翻訳の仕事のほとんどは、マニュアルのような同じような文章が繰り返し出てくるものだったりします。
過去に何度も自分もしくは誰かが同じような文章を訳しているのに、また1から翻訳するの時間がもったいないじゃん。機械を使えば、楽に早くできるし、貴重な人間の頭脳はもっと高度なことに時間を使いましょうという考えです。
あるセッションの中で話が出て驚いたのですが、世界には、本当は翻訳した方が良いのにされていない文章が膨大にあって、実際に翻訳されているのはそれらの1%しかないそうです。
海外の翻訳会社は、MTを使ってその残りの99%をビジネスに変えられないかと動いています。
15年ぐらい前にTM(翻訳メモリー)が普及しはじめた時と状況が似ていると思うのですが、あと2年もすれば、日本でもMTは普通に使われているはずと皆さん言われます。いろんな問題があるのは承知していますが、どうせやるなら楽しく付き合いたいですね。
翻訳業界で、日本語の需要は世界のトップ5に入っているそうですが、その100倍のビジネスが潜在的にあるなんて、ちょっとワクワク(ビクビクかも?)します。
どうでも良いですが、翻訳業界の略語の多さは何とかならないでしょうか?
MT:機械翻訳
TM:翻訳メモリー
SMT:統計を使ったMT
RBMT:ルールベースのMT
PE:ポストエディット(MTの訳を人間が直すこと)
HT:人間翻訳
MLV:マルチ言語ベンダー
SLV:シングル言語ベンダー
PM:プロジェクトマネージャー
LSP:言語サービスプロバイダー