前回の〇×に引き続き、日本独特の表現について、
それは、否定疑問文という、やっかいな代物です。
これを論ずるためには、まず、中学生時代に戻って日本語と英語の復習をしてみましょう。
日本語では、
あなたは寒くないですか?と聞かれたとき、
はい、寒くないです。
いいえ、寒いです。
と答えるのが普通で、
はい:寒いです。
いいえ:寒くないです。
と答える人はいませんよね。
これを英語にすると、
Aren't you cold? (Are you not cold?)
Yes: I am not cold.
No: I am cold.
とは言わないで、
Yes: I am cold.
No: I am not cold.
と答えます。
文法的に
「Yes」の後は必ず肯定文が続く。
「No」の後は必ず否定文が続く。
というのがルールでした。
このことを踏まえ、現場で起きていることを例に挙げてみます。
故障診断表
なんの躊躇なく直訳した場合には、故障診断の質問に対する対応を間違ってしまう恐れがあります。
※AIBSでは、翻訳者が日本語の意味を解釈して、正しい診断フローになるような英文を作成していますので、ご安心ください。
しかし、最近は翻訳単位がCMSやデータベースから細切れで出力されることが多くなっています。
そのため、翻訳者は最終的にどんな形に仕上がるのかを予測できないケースが発生しています。
前後を確認できない状態で、翻訳するのはたいへん危険です。
言語展開されることが分かっている場合は、日本語の原文で否定疑問文を使用しないように気をつけていただくと、翻訳者の負担と間違った手順に導かれる可能性が少なくなります。
ちなみに、これまでに遭遇した最強最悪のサンプルがこれ。
二重否定の疑問文です。
雨滴や汚れが完全に拭取れていないときではないか?
ランプが点灯していないときではないか?
簡単に言えば、
好きでないこともないか?=好きか?
と同じこと。
さすがに、これは書き直していただきました。日常会話でなら、その場で言いなおせたり、聞き返したりできるのですが、マニュアルの記載となると、これが原因で大きな事故にもなりかねません。
ライターの皆さん、否定疑問文を使用していないか?
いや、否定疑問文を使用しているか?いまいちど確認をお願いできたらと思います。
T.K.