英語学習者の方や、
英語ライティングする際に誰もが一度はぶち当たる、
冠詞の壁。

冠詞について頭では理解していても、いざ自分で英文を書いてみると、
「このときって、theだっけaだっけ?」
「そもそも、このとき冠詞必要だっけ?」
と疑心暗鬼になった経験はありませんか?

今回は、そんな私たちをずっと悩ませている冠詞の中でも、
「定冠詞と不定冠詞」について徹底解説していきます!
※「冠詞がつく場合、つかない場合」についてはまた別の記事で解説予定です。お楽しみに!

定冠詞・不定冠詞の使い分けの概念をつかみ、
「冠詞の違いによってどれほど意味が変わるか」が分かっていただけると思います!

ざっくりおさらい!可算名詞と不可算名詞

冠詞と密接に関わってくるのが、学校や文法書で「数えられる名詞、数えられない名詞」と習う「可算名詞、不可算名詞」です。

冠詞解説の前にまずはざっくりおさらいしておきましょう!

・可算名詞(数えられる名詞)
例:apple, beach, song

・不可算名詞(数えられない名詞)
例:water, paper, music

もう少し英文法っぽく分類すると、このようになります。
(C)・・・可算名詞(countable)
(U)・・・不可算名詞(uncountable)

名詞の種類
普通名詞(C)apple, desk, pen, cup
集合名詞(C)、(U)furniture, food
物質名詞(U)water, paper, money
抽象名詞(U)height, force(力), good(物品)
固有名詞(U)Japan, Times Square

つまり・・・

まとめると、原則、名詞と冠詞の関係は次の通りです。
・定冠詞(the):可算名詞、不可算名詞両方につけられる。
・不定冠詞(a/an):可算名詞につく。不可算名詞にはつかない。

【結論】「the」と「a/an」の使い分けはだいたいこの概念!

結論からお伝えすると、
基本的な「the(定冠詞)」と「a/an(不定冠詞)」の使い分けは、
「話し手と聞き手で共通認識があるかないか」です。

話し手と聞き手で共通認識があるもの→定冠詞(the)
話し手と聞き手で共通認識がないもの→不定冠詞(a/an)

<共通認識とは>
では、ここでいう共通認識とはどういうものでしょうか。
たとえば、「青いネコ型ロボット」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
きっと日本で知名度抜群のキャラクター、「ドラえもん」を思い浮かべるのではないでしょうか。
このように、話し手と聞き手(今回の場合、書き手と読み手)で何を指しているのかが分かるものが共通認識です。

例文紹介

では、実際に例文を紹介しながら解説していきます。

例文1:オフィスでの会話

A: What does my schedule look like today?
今日の私の予定どんな感じ?
B: You have a meeting at 2 p.m.
14時にミーティングが入ってます。
A: Okay.
了解。

上の例文では、ミーティングに「a(不定冠詞)」が使われており、Aさんが14時から「何かしら」の会議が入っていることが分かります。
ここでは「会議」についての追加情報は特になく、「ただ会議がある」というニュアンスになります。

では、冠詞を「the(定冠詞)」に変えると、どのような意味になるでしょうか。

A: What does my schedule look like today?
今日の私の予定どんな感じ?
B: You have the meeting at 2 p.m.
14時に例のミーティングが入ってます。
A: Okay. That meeting.
了解。 “あの”ミーティングね。

こちらの例文では、ミーティングに「the(定冠詞)」がつくことで、
「AさんとBさんの間ですでに共通認識があるミーティング(=たとえば重要なミーティング)」であることが分かります。
ただ、このような使い方は強調の意味合いが強いです。

例文2:取扱説明書

Remove the cap and screw an M16 hex bolt into the slot.
キャップを取り外し、M16六角ボルトをスロットにねじ込みます。

上の例文を読むと、

・キャップは1つ(製品にキャップは1つしかない)
・ボルトは何本かあるうちのいずれかを使用していい(特定のボルトの使用は指示されておらず、どのM16六角ボルトでも良い)
・ねじスロットは1つ(製品にねじスロットは1つしかない)
ということが分かります。

これが次のように変わると、物体の構造が変わります。

Remove a cap and screw the M16 hex bolt into the slot.
(いずれかの)キャップを取り外し、M16六角ボルトをスロットにねじ込みます。

こちらの例文では、

・キャップは複数あり、そのうちのいずれかを取り外す(どれかは指定していない)
・ねじ込むボルトは特定されている(恐らく前の手順で取り外した/準備したボルト)
・ねじスロットは1つ(製品にねじスロットは1つしかない)
といった情報が読み取れます。

キャップの冠詞が不定冠詞になったことで、初めの例文では1つだったこの物体のキャップの数が複数あることになり、英文から思い描く物体の構造が変わってしまいます。

取扱説明書などのマニュアルでは、明示的に対象を指定する必要があるため、「remove a cap」などの不明瞭な文章は不適切です。取扱説明書で「いずれかのキャップを外す」と言われても、「え、どれ?どれでもいいの?」となりますよね。

ちなみに、本当にどれでも良い場合も、「a cap」とは表現しません。
本当にどれでも良い場合は、「either cap(2つのうちいずれか)」や、「one of the caps(3つ以上のうちいずれか)」などと訳します。

このように、冠詞を意識せず日本語から英語に訳してしまうと、部品の数、製品の形が実際とは異なるかたちで伝わってしまい、読み手を混乱させる可能性があるので十分な注意が必要です。

問題にトライ!

練習問題

かっこに入る冠詞を考えてみましょう。

1. I bought ( ) blue coat yesterday.

2. Could you close ( ) door?

3. She’s looking for ( ) new job.

答え

1. I bought a blue coat yesterday.
昨日青いコートを買いました。
→新しく買ったコートを初めて紹介しているので、不定冠詞を使用。

2. Could you close the door?
ドアを閉めていただけますか。
→どのドアが開いてるのか見当がつくので、定冠詞を使用。

3. She’s looking for a new job.
彼女は仕事を探しています。
→特定の仕事には言及せずに大枠としての仕事を探しているので、不定冠詞を使用。

まとめ

学校で習う英文法の中では主張が強くない方ですが、
習得がとても難しい「くせ者」な冠詞。
基本的に「共通認識があるかないか」という考え方を意識していただければ、よりスムーズに、自信をもって使い分けていただけると思います!