ume2.jpg

日中は暖かい日が続いていて春が近づいているのを感じますね。

さて、今回は特許事務として勤務していた時のお話をしたいと思います。

特許出願する前に公開された発明は、原則として特許を受けることができませんが、論文発表等によって発明を公開したあとでも、条件を満たせば特許を受けることができる “新規性喪失の例外規定” があります。

以前の勤務先に入社するときに言われたことの一つが、「こちらでは新規性喪失の例外規定は使えません」ということでした。最初は意味が分からなくて、誤って出願前に公開してしまった場合に救済してもらえる、出願人にとってメリットがある制度なのになぜ?と、頭の中に「?」が浮かんでいました。

よくよく話を聞いてみると、新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、証明する書面を提出しなければなりませんが、その書面には出願人名(法人の場合は、その法人を代表する者の名前の印でも可)の押印が必要になります。その勤務先では、出願人は親会社になっていて、つまりは、親会社の役員の押印が必要になってしまうということでした。

そのような内部事情があるなら従うほかないですね。研究者の中には特許制度に詳しい方もいて、「先に公開してしまっても特許を受けられる制度がある」と発明の届出をのんびりしている方もいましたので、「発表する前に特許出願を完了してください」と口を酸っぱくして言っていたのを思い出します。

このように企業独自のルールがあり、社内ルールにも対応していかなければなりません。社内ルールは企業によって大きく異なりますので、その違いも面白く思っていただけたらと思います。