こんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

特許事務の仕事をはじめると、多くの専門用語を知ることになると思いますが、私がはじめて聞いたときに面白い用語だなぁと印象に残ったのは「包袋(ホウタイ)」と「ファミリー」でした。

特許担当から、
とりあえず、USのオフィスアクションに対する応答を検討するから”対応するファミリーの包袋”を全部持ってきて
と言われたことがあったのですが、私は「何を持ってくればよいのか」が理解できずフリーズしてしまいました。

これをきちんと説明すると、
US出願で拒絶理由通知を受けたので、US出願したときに基礎となったJP出願と、同じJP出願を基礎出願として出願したUS以外の国(たとえばEP、CN、KRの4ヶ国分の手続書類がファイリングされている書類の束を持ってきてほしい」という意味になります。

経験者であれば「関連するファミリーの包袋」という、わずか12文字で伝わることが、未経験者には上記のように説明しなければ伝わりません。
文字数にすると112文字です(苦笑)。

さらに、当時の私は「基礎となったJP出願」というところでつまずきましたので、上記に加えて基礎出願とは何か?という説明を受けた記憶があります(笑)。

少し余談になりますが、包袋の作り方(書類のファイリングの方法)は会社ごとに微妙に異なり、包袋には企業文化が現れると感じています。

企業ではシンプルに時系列でファイリングすることが多いのですが、特許事務所では、特殊な包袋ケースを使う場合があります。

丈夫な紙で作られた「包袋ケース」を開くと、真ん中と左右の3箇所に書類をファイリングできるようになっています。1箇所は特許庁⇔事務所のやりとり、もう1箇所は事務所⇔クライアント(企業)のやりとり、そして最後は事務所内の書類のみファイルする、のように3つに分けてファイリングします。

特許事務所では特許庁とクライアントの両方に対してやりとりが発生するため、このような包袋が使いやすいのかもしれません。面白いことに、管理ができている職場かどうかというのも包袋の状態を見ると大体分かります。

国内出願の包袋は1案件あたり大体2cmくらいですが、外国出願の包袋となると5~10cmになります。出願件数の多い企業や受任件数の多い特許事務所では、一日に受領する書類は文字通り山積み状態になります。受領した書類に関連する紙包袋をキャビネットから持ち出して関係者に回覧したり、キャビネットに戻したりという作業は結構な力仕事になり、腱鞘炎になったり手が荒れることもありました。

20年前は紙包袋を使っている職場が大半でしたが、スペース不足や倉庫保管費用削減のため、ここ10年くらいで包袋を電子化する職場が増えてきました。また、コロナ禍でリモートワークが必要になり業界では電子化が一気に加速したように感じています。

紙でのやりとりは煩雑な面が多かったのですが、手続の全体の流れや対応ファミリーの動きが理解しやすかったように感じています。大量の紙書類を扱うことで、身体で事務を覚えることができたのだと思います。

もし、あなたが特許事務の仕事の流れを覚えるのに苦労されているようでしたら自分用の紙包袋を作って書類に解説を書き込んだり重要な期限をマーキングするなどしてみるといいと思います。