とある日、東京から沖縄に移り住んだ友人から届いた質問。
1コートとは、どういう単位ですか?
ガソリンスタンドで「エンジンオイルを1リットル入れて」と言うと、「1コート?」と聞き返されたそうです。
「1コートって何?」と逆に質問すると、「沖縄では昔から使われている単位なんです」と言われたそうです。
1コートってなんだろう?
私も、最初は塗装(coat)に関係しているのかなとか、まったくピンときませんでしたが、思考をめぐらすうちに、
沖縄 ⇒ 米軍 ⇒ ガソリン ⇒ アメリカの単位 ⇒ ガロン ⇒ 1ガロン=3.785 411 784リットル
⇒ 4クォート ⇒ 1クォート=0.946 352 946リットル ⇒約1リットル
クォートがなまってコートという連想でもって、なんとか謎がとけました。
そういえば、沖縄のパック牛乳は1リットルではない、というのは有名なお話しでした。
今度、沖縄物産展などで、実物をチェックしてみます。
話は、変わりますが、ガソリンスタンドで1リットルを入れてと言ったのに、1コートを入れるとなると、厳密には約54mlの不足が生じます。
日常会話の中だけで習慣的に1リットル=1コートと言われているのなら問題ないでしょうけど、精密機器などにおいては、この程度の差が重大な性能不良を引起すことにもなりかねません。
単位と換算って大切です。
国際単位系であるSI単位がメインで表記されるようになったとはいえ、海外向けのマニュアルを制作する場合、まだヤード・ポンド法も記載しなければならないことがあります。
例)
SI単位系 | ヤード・ポンド法 | |
---|---|---|
長さ | m | ft |
mm | in | |
容量 | L | US gal/Imp gal |
L | US qt/ Imp qt | |
重さ | kg | lb |
特に技術資料的な翻訳の際には単位と換算値の取り扱いには、注意が必要です。
原文:冷却水をクーリングシステムから2.1 L (2.2 US qt, 1.8 Imp qt) 抜取り、冷却水の原液2.1 L (2.2 US qt, 1.8 Imp qt) を充てんする。
訳文:Drain 2.1 L (2.1 US qt, 2.1 Imp qt) of coolant from the cooling system and add 2.1 L (2.1 US qt, 2.1 Imp qt) of the undiluted solution of coolant.
訳文の数値が違っていたり、単位が変わっていたり、することがあります。
ミスの主な原因は、TRADOS翻訳時のファジーマッチの修正忘れや、その後のチェック漏れ、翻訳指示書の不履行(事前の設定間違い)などです。
最近では、QA Checker、xbenchなどのチェックツールの性能が向上してきていますが、基本は第一作業者である翻訳者さんの実力が品質を大きく左右します。
数値と単位間違いは、お客さまに対してまったく言い訳ができないのです。 (TωT)ウルウル
謎の単位、コートから翻訳品質の話になってしまいましたが、もし世界中の単位も言葉も統一されてしまったら、私たちの仕事自体なくなってしまうのでしょうから、今はこの状況をありがたく受け止めて、ミスのないように地道にやっていくしかありませんね。
最後に、いまだに良くわからない謎の単位が、東京ドームという単位です。
アンガールズ田中さんの実家の敷地が東京ドーム1・5個分!とか、
世界のビール消費量、27年連続で過去最高を更新、東京ドーム151杯分!とか
ただ、ただ大きい、多いぐらいの感覚しかありませんが、なんと換算ソフトを発見しました。
<参照:東京ドーム計算機>http://hmdt.jp/TokyoDome/TokyoDome.html
これで、多少なりともサイズ感が理解できるようになれそうです。(作成者の方ありがとうございます。)
T.K.