今では当たり前のように使用しているカット、コピー、ペーストですが、ここにたどり着くにはそれなりの歴史があったようです。
 
私が入社した30年前の当時、取扱説明書の原稿作成は、手書きの原稿を印刷会社のオペレーターが入力するというものでした。
原稿作成は、印刷会社から大量にもらった予備の本をできるだけ利用して(バラバラに崩して)、修正が必要なページだけをコピーするようにしていました。新しく作るページは、流用したい箇所をハサミで切り取り、原稿用紙に貼りつけ、朱書きするという、文字通りの「きった・はった」の世界でした。
 
ちなみに、当時のイラスト作成には、「紙焼き、墨入れ」といった工程がありました。
 
きった・はった、やき、すみ入れ、この言葉だけ聞くと、ずいぶん恐ろしい業界に入ったものだなーと思ったものです。
 
当時はコピー機もそれほどなく、私が働いていた某自動車メーカーの150名位のフロアにも1台あるぐらいでした。(もちろん、この頃のコピーは、プリンターという機能はなく純粋にコピーするだけ)
 
いつもコピー待ちする人の行列ができ、そこがまた、コミュニケーションの場みたいになったりしていましたが、コピー機に近い席は、なぜか人気がありました。(上司の席から遠いから)
 
当時新人の私にとってのコピーの原点は、紙でした。紙=神。紙こそが全て。
 
データをコピーするという感覚などまったく持っていませんでしたし、自分が直接データを扱うことになるとも思っていなかった。
 
1980年代に入っても、プログラミングの世界ではパンチカードを使っていて、必要な箇所をハサミで切り取り(Cut)、糊で貼り付ける(Paste)という作成手法が標準的なものだったそうです。
ただし、コンピューターへの入力がパンチカードからオンラインファイルに変わり始めた1960年代半ばから後半にかけて、これらのデータを扱うためのコマンド(Cut、Copy、Paste)が出来てきました。
でも最初は、コピーしていったん別の場所にペーストし、それから移動(Move)させるといったステップが必要で、今のようにコピーして、希望の場所にすぐにペーストできない仕様だったようです。
 
それを解決したのが、クリップボードという考え方を採用したApple社です。コマンドキーとX、C、V、Z、etcの組合せで、さまざまな操作が可能になりました。
 
その後、Windowsにも、この手法が導入され、一気に一般人の手の届くことになります。
 
へーそうなんだ!
 
もともとは、プログラムの開発のために生まれたということがわかって、ちょっと満足したところで、
ふと、PCのキーボードを見ると、いかに、この機能を利用しているかが一目瞭然、[C] と [V] と [Ctrl] が消えています。
 
ccp.jpg
 
ほかのキーが消えていないのは、仕事していないんじゃないかという突っ込みは、しないでくださーーい。
 
この機能のおかげで、翻訳・データ作成作業は、本当に便利になったのですが、「コピペミス(場所・内容)」、「コピーしたままで修正し忘れ」、「データを消してしまう」などがより身近になってきました。
 
今年、世間を賑わした!!あの事件!!もコピペが関係していましたよね。
「きった・はった」の世界(Cut, copy, and paste)は、やっぱり恐ろしい。
皆さん、くれぐれも、カトペ・コピペ・ミスがないように気をつけてくださーーい。
 
この記事を書くのに参考にしたサイト
 
T.K.