中秋の名月の頃となりましたが、連日の猛暑でまだ真夏のような日が続いています。しかし先日の天気予報によれば、この暑さもあと数日間とのことです。まさに「暑さ寒さも彼岸まで」ということなのでしょう。
住民票の写しなどの書類が必要になり、役所の窓口に行く機会がありました。申請用紙を探しているとカウンターの中から声をかけられました。最近は「書かない窓口」という新しい手順に変わったのだと説明がありました。「書かない窓口」では、マイナンバーカードや運転免許証等の本人確認証を利用して、申請書等に「氏名・住所・生年月日・性別」を印字することで、申請者は署名などの最小限の記入のみで手続きが完了するのだそうです。これも役所業務のDX化の一環とのことでした。
ここ数年、さまざまな分野で「DX」という言葉を耳にすることが増えてきました。「DX」は「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略で、企業や組織がデジタル技術を活用してビジネスやサービスを革新し、効率化や新しい価値を創出することを指しています。
初めて「DX」という言葉を聞いたときに、「デラックス」を連想した人も多いのではないでしょうか。
昭和の時代、自動車業界ではDXというグレードがたくさんあったように思います。カローラDX、ブルーバードDX、アコードDXなどのモデル名とグレードがあったのを思い出します。これらの「DX(デラックス)」グレードは、標準モデルよりも豪華な装備や内装が特徴でした。
また、無線通信に関わっている人々には、DXを「Digital Transformation」として使うことに強烈な違和感があったようです。無線通信の世界では、「DX」は「長距離通信(Long Distance )」の略として古くから使われています。私が趣味にしているアマチュア無線の世界でも、60年以上も前から「DX」という言葉が使われており、遠くの場所、特に海外の局と通信することを指していました。
「DX」という言葉が、分野によって異なる意味を持っているのは面白いことだと思います。
当社(AIBS)は、言語を扱う仕事をしています。言葉は多くの意味を持っているものですが、同じ言葉が業界や分野によって意味が異なることも少なくありません。技術の進化と共に言葉の使い方や意味も変化していきます。こうした変化に柔軟に対応しながら、言葉の奥深さや面白さを探求し続けることが大切だと感じています。