はじめての

今年も12月がやってきました。この時期は、時間がビュンビュンと過ぎ去っていくのを強く実感するようになります。
12月には、忘れられない記念日があります。中学3年生の冬、当時ラジオ少年だった私は、受験勉強もしないでラジオの製作に夢中になっていました。うまくいかず何度も作っては分解するということを繰り返していました。そして12月10日の夜、ついにスピーカからラジオ放送が聞こえてきたのです。自分が作ったラジオからはじめて音が聞こえた時、ラジオ少年の体は感動と達成感でいっぱいになりました。このことは、私の人生に大きく影響する出来事となりました。

人生には数え切れない「はじめて」があります。はじめてテレビが家に来たときのこと、はじめて飛行機に乗ったときのこと、はじめてピザというものを食べたときのこと、などなど。たくさんの「はじめて」がありますが、印象に強く残るはじめてのことは時間が過ぎても良く覚えているものです。

20数年前に長野支店を開設した頃、松本市に出張したときにはじめてリンゴの木を見ました。赤い実がたわわに付くリンゴの木がずらっと並ぶ光景を見て、こんな風にリンゴはできているのだということを知りとても感動しました。このリンゴの木の写真は、10月に長野県に出張したときに撮ったものですが、リンゴの木を見るとその時の感動や支店開設時の熱い思いが蘇ってきます。

さて、実をいうとブログを書くということは、私にとってはじめてのことです。よくあるビジネス文書と違いブログには前例文がありません。例文を上手く編集してさっと仕上げるということができないのです。ここ数日間は、自分の思いを文章にすることに苦労しています。
当社の新入社員は、文章力を鍛えるために日記を書く(しかもボールペンで)ことになっています。大学ノート一冊がいっぱいになるまで約2ヶ月の間、毎日書きます。書く内容に困りながらも皆すらすらと書いているようです。

私の友人に長文のメールで理路整然と自分の考えを表現してくる人がいます。そんな長文は何度も書き直して完成させるのかと彼に尋ねたことがあります。彼の返事は、言いたいことを頭の中でまとめてから一気に書くと言うことでした。考えてみると日記も長文メールも、私の前職の機械設計とプロセスが似ていると気付きました。

私は親会社である大興に入社した当初は、機械装置の開発製造をしていたエンジニアリング事業部で設計をしていました。製作する装置の仕様が決まった時には、既に頭の中には完成されたイメージができています。あとはそれを機械製図のルールに従って図面にしていくだけです。もちろん細かい部分は書きながら検討しますが、大筋はできているのでひたすら描いていくのです。
先の日記や長文メールと作成プロセスは同じだと思いながらも文章と図面の違いなのか文章を書くということはなかなか大変ですが、新しいことを経験する良い機会だと捉えてブログに挑戦しています。

「はじめて」を意識してものごとに取り組むときは、ワクワクとかドキドキとか心配とかいろいろな感情が湧いてくるものですが、「はじめて」に臨むということは自分にとって新しい世界や未来の扉を開くことだと思います。ブログを書き始めた時のことが、良い思い出だと言える日が来るよう精進したいと思います。

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