今年は暑い日が長く続きましたが、12月に入ると急に寒くなり、いきなり冬がやってきたような気がします。やがて冷たい風がビュービューと吹くようになりました。それと重なるように時間の過ぎゆく音がビュンビュンと聞こえ始め、年末になったことを実感しています。12月は大掃除、忘年会、クリスマス、学校の冬休み、正月の準備、イルミネーション見に行く?大晦日どうする?など多くのイベントで忙しい月です。それに加えて、今年を振り返りながら来年へ思いを馳せるなど、まさに「師走」という言葉がぴったりだと思います。冷静に考えれば、時間の流れる速さは普段と何ら変わりはありません。それでも音が聞こえるような気がするのは、歳のせいかもしれません。
12月といえば、「ラジオ少年」が誕生した月です。数十年前の12月の夜、自分で組立てたラジオから放送が聞こえたときの感動は、今でも忘れられません。そして私は、電気、ラジオ、アマチュア無線、パソコンという「沼」にはまっていきました。ただ好きという理由だけでこの沼に飛び込んだので、沼の奥底にはまっているわけではありません。この沼は広く、いまだに漂い続けています。でも、この沼で漂っている状態こそが私には快感なのです。
大学の専攻や就職先を決めるとき、私は「機械系」を選びました。大好きな世界は別に持っておいて、仕事などで苦しいときの逃げ場所(今風に言うと避難場所でしょうか)にしようと考えたからです。一番好きなことは趣味にして、二番目に好きなことを仕事にする――これは私の持論です。
会社という組織に属して仕事をすると、やりたい職種に就けないことも多く、配置転換などの異動もあります。嫌なことでも「仕事と割り切る」ことで取り組むことができますが、それでもストレス解消や癒しが必要なときがあります。近年、ヒーリングミュージックが脚光をあびていますが、古くから海岸の波の音や川の流れ、滝の音、鳥のさえずりなども人々の癒しになってきました。 しかし、無線の沼にはまっている私にとって一番の癒しの音は、受信機から流れてくる「ザーッ」というノイズ音なのです。